- マーケティング戦略とは?
- マーケティング戦略全体の流れは?
本記事ではこのような疑問を解決します。
市場で売上を獲得していくために必須なのがマーケティング戦略です。
しかし、マーケティング戦略と一言でいわれても、なかなかイメージが湧きづらく、難しく感じてしまう方は多いです。
そこで今回はマーケティング戦略について、全体の流れを中心にわかりやすく解説していきます。
マーケティング戦略とは?
マーケティング戦略とは事業を取り巻く環境を分析し、「誰に、何を、どこで、いくらで、どのように売るのか」を明らかにするプロセスのことです。
マーケティング戦略はビジネスを行う上で、売上をあげるために欠かせないプロセスになります。
そもそもどんなに質の良い商品・サービスをつくったとしても、適切な方法で適切な消費者に届けることができなければ、売上はまったく発生しません。
逆に、必ずしも質が高いとはいえない商品・サービスであっても、マーケティング戦略がしっかりと行われていれば、良くも悪くも、多くの売上を獲得することができます。
そして、このマーケティング戦略は以下のプロセスを踏んで行われます。
- マーケティング環境分析
- マーケティング戦略立案
- マーケティング戦略実行
- 上記の3つを修正しつつ、管理をしていく
次でそれぞれ詳しく見ていきましょう。
マーケティング環境分析
マーケティング環境分析では事業をとりまく環境を分析していきます。
環境分析にはいくつか手法がありますが、本記事ではPEST分析とSWOT分析の2つを扱います。
分析の順番としては、PEST分析で外部環境を分析し、その後にSWOT分析で内部環境を分析するというのが大まかな流れになります。
PEST分析
PEST分析とはマクロ環境の変化が自社の所属する業界にどのような影響を与えるのかを明らかにするフレームワークのことです。
マクロ環境とは政治・経済などの、より広い視点で見た環境のことを指します。
つまりPEST分析は事業をとりまく外部環境を分析する手法で、市場の機会(チャンス)と脅威(リスク)を先読みすることが目的です。
「PEST」のアルファベット4つは以下の意味を表します。
・P(political)→政治的要因
例)法律改正、政権交代、国際紛争
・E(economical)→経済的要因
例)景気変動、金利・所得・税率の変化
・S(sociological)→社会的要因
例)人口動態・消費者嗜好の変化
・T(technological)→技術的要因
例)通信技術の発達、端末の小型化
「P・E・S・T」それぞれの要因は広く様々なものが存在するため、自社の所属する業界に影響を与える要因のみを考慮します。
自社の所属する業界に影響を与える要因を洗い出すことができたら、その業界(市場)における機会と脅威を把握します。
このようにPEST分析は「P・E・S・Tの要因」→「業界への影響」→「市場の機会と脅威」を明らかにするために行うのものです。
PEST分析によって外部環境(マクロ環境)を分析したら、次にSWOT分析に入ります。
SWOT分析
SWOT分析とは事業をとりまく外部環境(市場の機会・脅威)と内部環境(自社の強み・弱み)を明らかにするためのフレームワークのことです。
PEST分析においても外部環境(マクロ環境)を明らかにしましたが、SWOT分析ではミクロの視点に重きを置いた外部環境の分析が行われます。
ミクロの視点とは個人や企業レベルでの視点ということです。
また、「SWOT」のアルファベット4つは以下の意味を表します。
・S(strength)→強み
例)高いスキルを持った人材が集まっている
・W(weakness)→弱み
例)SNS活用などのノウハウがない
・O(opportunities)→機会
例)IT需要で市場が急激に成長してい
・T(threats)→脅威
例)少子高齢化により、国内市場が縮小している
上記4つは、「T→O→W→S」の順番で分析を進めていきます。
外部環境(市場の機会・脅威)を分析する上では、顧客と競合他社の理解が求められます。
また、内部環境(自社の強み・弱み)を分析する上では、自社の理解が求められます。
よってSWOT分析をする上では、顧客(Customer)・競合他社(Competitor)・自社(Company)の3つを理解することが重要です。
この三者の理解をそれぞれの頭文字を取って、3C分析といいます。
なお、SWOT分析の目的は、自社が参入するべき魅力的な市場を見つけることです。
魅力的な市場を見つけることができたら、次にその市場でどのようなマーケティング活動を行うべきかの戦略を立てていきます。
マーケティング戦略立案
マーケティング戦略立案ではSTP分析によってターゲットとなる消費者を決定し、マーケティング・ミックスによって商品・サービスをターゲット消費者へ届けるための手段を策定します。
STP分析
STP分析とは下に示す3つのプロセスを経て、自社の商品・サービスのターゲットとなる消費者を決定し、その消費者に対して他社との差別化を図るための立ち位置を明らかにする分析手法です。
・S(segmentation)→セグメンテーション
・T(targeting)→ターゲティング
・P(positioning)→ポジショニング
セグメンテーション
セグメンテーションとは全体市場を顧客層によって細分化することです。
この細分化された市場のことをセグメントといいます。
一般的に企業の経営資源は有限であるため、市場全体の中から自社が勝てる可能性の高いセグメントを選択し、そこでビジネスを行っていく必要があります。
なお、セグメンテーションにおいて気をつけるべきポイントが以下の3つです。
・同じ部類のセグメントに全体市場を分解すること
・抜け漏れや重なりがないように全体市場を分解すること
・適正な規模に全体市場を分解すること
・同じ部類のセグメントに全体市場を分解すること
同じ部類とはニーズや性質が同じ集団ということです。
なぜ同じ部類のセグメントに分解する必要があるのかというと、集団のニーズや性質が同じでなければ、
のちに検討するマーケティングミックスという手法の効く消費者と効かない消費者が混在するセグメントになってしまうからです。
・抜け漏れや重なりがないように全体市場を分解すること
市場全体を抜け漏れがなく、重なりがないように細分化することで、市場をより正確に把握をすることができます。
例えば「購買力のある若者」として、「20代、OL、フリーター」に全体市場を分解した場合、
そこには「10代」という抜け漏れや、「20代とOL」「20代とフリーター」という重なりが発生してしまうため、
市場をより正確に把握をすることが困難になってしまうのです。
・適正な規模に全体市場を分解すること
市場の規模は、大きすぎるとライバルが多数存在したり、小さすぎると、ライバルは存在しないが、
そもそも顧客が少なすぎるという問題が発生します。
そのため適正な規模の市場に分解することが大切なのです。
ターゲティング
ターゲティングとは細分化されたセグメントの中からターゲットとなる消費者を決定することです。
なお、ターゲットとなる消費者(セグメント)の選択においては、重要なポイントが以下3つあります。
・将来成長するセグメントであること
・消費者ニーズが測定可能なセグメントであること
・消費者ニーズに到達可能なセグメントであること
・将来成長するセグメントであること
ビジネスを継続的に行なっていくためには、市場にターゲット消費者が存在し続ける必要があります。
・消費者ニーズが測定可能なセグメントであること
ターゲット消費者のニーズを測定できなければ、競争力のある商品・サービスを提供することが困難になります。
商品・サービスを提供する以上、消費者のニーズに合致することが求められるため、消費者ニーズが測定可能であることが必要なのです。
・消費者ニーズに到達可能なセグメントであること
将来成長することが見込めて、消費者ニーズを把握することができた市場であっても、
消費者ニーズに到達することができなければ、商品・サービスを利用してもらうことは難しくなります。
ポジショニング
ポジショニングとはターゲット消費者に、自社の商品・サービスと競合他社の商品・サービスの違いを理解してもらい、自社の商品・サービスを利用してもらうことです。
ポジショニングにおいては、訴求ポイント(自社の強み)を明確にする必要があります。
「自社の商品・サービスの強みは何か?」を考え、ターゲット消費者のニーズに合致しているかを判断します。
また、ポジショニングは必ず、セグメンテーション・ターゲティングの後に行います。
なぜなら、ターゲット消費者が明らかになり、そのニーズが明らかになって初めて、自社の商品・サービスの強みを明確にすることができるからです。
なお、ポジショニングの3ステップは以下の通りです。
・ターゲット消費者のニーズを把握する
・消費者のニーズに応える自社の強みをたくさん書き出す
・たくさん出た自社の強みから、特に他社との違いが際立つものを2つ選び出す
マーケティングミックス
マーケティングミックスとはSTP分析で明らかとなったターゲット消費者に訴求する価値を実現し、知らせ、届けるための構成のことです。
マーケティングミックスは以下の4つの「P」で構成されています。
Product:製品
例)製品のブランド名や品質、デザインを決定する
Price:価格
例)標準価格や値引き額を決定する
Place:流通
例)ECサイトや店舗での販売等のチャネルを決定する
Promotion:プロモーション
例)販売促進活動や広告運用方法を決定する
このように4つの「P」を決めることによって、具体的にマーケティング戦略を実行することができます。
マーケティング戦略実行・管理
マーケティングにおける環境分析と戦略立案が完了したら、いよいよ実行に移していきます。
マーケティング戦略はあくまで「~になるだろう」という仮説にすぎないため、戦略が機能するかを実行して検証する必要があります。
そのため戦略を実行して検証をし、適宜戦略の修正をしていくのです。
したがって、「環境分析→戦略立案→戦略実行→戦略検証→戦略修正」の流れを繰り返していくことになります。
まとめ
- マーケティング戦略とは?
事業を取り巻く環境を分析し、「誰に、何を、どこで、いくらで、どのように売るのか」を明らかにするプロセス
①マーケティング環境分析
②マーケティング戦略立案
③マーケティング戦略実行
④上記の3つを修正しつつ、管理をしていく - ①マーケティング環境分析
PEST分析
外部環境(政治的・経済的・社会的・技術的な影響)を分析
↓
SWOT分析
外部環境(市場の機会・脅威)、内部環境(自社の強み・弱み)を分析 - ②マーケティング戦略立案
STP分析
自社の商品・サービスのターゲットとなる消費者を決定し、その消費者に対して他社との差別化を図るための立ち位置を明らかにする
↓
マーケティングミックス
ターゲット消費者に訴求する価値を実現し、知らせ、届けるための構成をつくる - ③マーケティング戦略実行
戦略は、あくまで仮説にすぎないため、それが機能するかを実行して検証する - ④上記の3つを修正しつつ、管理をしていく
適宜、「環境分析→戦略立案→戦略実行→戦略検証→戦略修正」の流れを繰り返していく