【簡単分析】貸借対照表の読み方をわかりやすく解説【ポイント説明】

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  • 貸借対照表のどこを見たらいいの?
  • 貸借対照表を読めるようになりたい!

貸借対照表の勉強を進めていると、「仕組みはわかったけど、結局どこをどう見たらいいの?」と疑問に思うことがあります。

そこで今回は日商簿記1級資格保有で、監査法人や会計コンサルティング会社で働いてきた経験のある筆者が「貸借対照表の読み方」についてわかりやすく解説します。

本記事を読めば貸借対照表の読み方がスッと頭に入ってきます。

貸借対照表の読み方

決算書の読み方(イラスト)①

貸借対照表からは主に企業の安全性を読み取ります。

安全性とは「安定して経営が行われているか」の程度を指します。

つまり企業の安全性を読み取ることによって、「倒産するリスクはないか?」「この先も存続していけるか?」などを知ることができます

そして、企業の安全性を読み取る上で重要な指標が以下の5つです。

  • 流動比率

  • 当座比率

  • 固定比率

  • 固定長期適合率

  • 自己資本比率

それぞれ詳しく見ていきましょう。

※各指標を見る上でこちらの貸借対照表(簡易版)を参考にしてみてください。

貸借対照表(読み方説明用)

流動比率

流動比率(%)
= 流動資産 ÷ 流動負債 × 100

流動比率は手持ち資金1年以内に現金化が予定されている資金で、1年以内に支払期限のくる債務をどの程度賄うことができるかを表します。

つまり企業の短期的な支払い能力のことです。


流動比率は100%以上であることが必須とされています。

100%を下回ると、1年以内に支払期限のくる債務を支払うことができないことを意味し、倒産危機に直面する状況ということが言えます。

当座比率

当座比率(%)
= 当座資産 ÷ 流動負債 × 100

当座比率は手持ち資金で、1年以内に支払期限のくる債務をどの程度賄うことができるかを表します。

つまり流動比率の「条件を厳しくしたバージョン」ということです。


当座比率は100%以上であることが望ましいとされています。

当座比率が100%以上であるということは今ある手持ちの資金で1年以内に支払期限のくる債務をすべて支払えるということを意味しているため、短期的に倒産する可能性はまずないと言っていいです。

固定比率

固定比率(%)
= (固定資産 + 繰延資産)
÷ 自己資本 × 100

固定比率は返済が不要である自己資本によって、リスクが高い固定資産への投資をどの程度賄うことができるかを表します。


固定資産への投資は回収に長期間を要し、必ずしも収益獲得に貢献できるかはわからないリスクの高い投資になります。

したがって、固定資産への投資を返済が不要である自己資本によって賄うことが望ましいのです。


また、固定比率は100%以下(固定資産投資を自己資本で賄えている)であることが望ましいとされています。

固定長期適合率

固定長期適合率(%)
= (固定資産 + 繰延資産) ÷ (固定負債 + 自己資本) × 100

固定長期適合率は返済が1年以上先となる固定負債返済が不要である自己資本によって、リスクが高い固定資産への投資をどの程度賄うことができるかを表します。

つまり固定比率の「条件をゆるくしたバージョン」ということです。


固定比率のところでも説明しましたが、固定資産への投資は回収に長期間を要し、必ずしも収益獲得に貢献できるかはわからないリスクの高い投資になります。

そのため自己資本だけでは賄えない場合、返済期限が、1年以上先と、余裕のある固定負債をプラスしてどの程度賄えるかを測るのが固定長期適合率です。


そして、固定長期適合率は100%以下であることが望ましいとされています。

そのため、たとえ固定比率が100%以上であったとしても、固定長期適合率が100%以下であれば、その固定資産への投資は安全であるいえます。


なお、日本企業の場合は次で説明する自己資本比率が伝統的に低いため、固定長期適合率で長期的な安全性を見るのが一般的です。

自己資本比率

自己資本比率(%)
= 自己資本 ÷ 総資本 × 100

自己資本比率は総資本のうち自己資本がどの程度あるのかを表します。

裏を返せば、負債(=他人資本)と自己資本の比率も表すことができます。


簡単にいえば、「大きな借金をせずに自己資金で健全な経営ができているか」を読み取ります。


そのため、借金や融資を多く受けている企業はこの自己資本比率が低い傾向にあるのです。


したがって、負債をなるべく抑えて、自己資本比率が高くなるほど倒産のリスクは下がります。

ちなみに・・・
自己資本比率が高いほど倒産のリスクが低くなると説明しました。
つまり安全性の観点からは自己資本比率が高いほど「良い」ということになります。
しかし、自己資本比率を高すぎる(負債を減らす)とデメリットもあるのです。
細かく話すと長くなるので簡単にいうと、節税上好ましくなかったり、配当金が多くなったりするという状況を招いてしまいます。
これはキャッシュアウト(支出)が増えることを表しています。
したがって、自己資本比率は40~70%程度であることが良いと言えるでしょう。

まとめ

  • 流動比率
    手持ち資金と1年以内に現金化が予定されている資金で、1年以内に支払期限のくる債務をどの程度賄うことができるか

  • 当座比率
    手持ち資金で、1年以内に支払期限のくる債務をどの程度賄うことができるか

  • 固定比率
    返済が不要である自己資本によって、リスクが高い固定資産への投資をどの程度賄うことができるか

  • 固定長期適合率
    返済が1年以上先となる固定負債と返済が不要である自己資本によって、リスクが高い固定資産への投資をどの程度賄うことができるか

  • 自己資本比率
    総資本のうち自己資本がどの程度あるのか

また、貸借対照表について復習したい方はこちらの記事を参考にしてみてください。

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