- 損益計算書のどこを見たらいいの?
- 損益計算書を読めるようになりたい!
損益計算書の勉強を進めていると、「仕組みはわかったけど、結局どこをどう見たらいいの?」と疑問に思うことがあります。
そこで今回は日商簿記1級資格保有で、監査法人や会計コンサルティング会社で働いてきた経験のある筆者が「損益計算書の読み方」についてわかりやすく解説します。
本記事を読めば損益計算書の読み方がスッと頭に入ってきます。
損益計算書の読み方
損益計算書からは主に企業の収益性を読み取ります。
収益性とは「どのくらい効率的に利益をあげているか」の程度を指します。
つまり企業の収益性を読み取ることによって、「売上高に対して利益を多く残せているか?」「効率よく売上をあげているか?」などを知ることができます。
そして、企業の収益性を読み取る上で重要な指標が以下の4つです。
- 売上総利益率
- 売上高営業利益率
- 売上高経常利益率
- 売上高販管費率
それぞれ詳しく見ていきましょう。
※各指標を見る上でこちらの損益計算書(簡易版)を参考にしてみてください。
売上総利益率
売上総利益率(%)
= 売上総利益 ÷ 売上高 × 100
売上総利益率は商品・サービス自体の利益率がどの程度なのかを表します。
一般的に「粗利率」とも呼ばれています。
こちらは商品力・サービス力が大きく影響してくる指標です。
商品力・サービス力で稼いだ利益で、販管費などの費用を賄ってから最終的な利益を残していくというイメージになります。売上総利益率は業種によって異なり、人件費が大きい飲食業は平均50~60%、製品等を扱う製造業・卸売業・小売業は平均20~30%となっています。
ここで、データが少し古いのですが、経済産業省HPに売上総利益率に関するデータが載っているので参考にしてみてください。
経済産業省:商工業実態基本調査 売上総利益率
売上高営業利益率
売上高営業利益率(%)
= 営業利益 ÷ 売上高 × 100
売上高営業利益率は売上高に対して営業利益をどの程度残せたのかを表します。
営業利益は本業で稼いだ利益なので、売上高営業利益率に本業の力が現れます。
今回紹介する指標の中で1番大事な指標と言えるでしょう。
売上高営業利益率は業種によっても企業の成長段階によっても本当に異なります。
なので売上高営業利益率の業種平均を経済産業省HPからまとめました。こちらを参考にしてみてください。
参照元:令和1年企業活動基本調査速報-平成30年度実績-(経済産業省)
売上高経常利益率
売上高経常利益率(%)
= 経常利益 ÷ 売上高 × 100
売上高経常利益率は売上高に対して経常利益をどの程度残せたのかを表します。
経常利益は本業の活動に財務活動(資金繰りや利息の受取・支払など)を含めて計算された利益です。
また、経常利益は税金や偶然性が高い特別損益を足し引きする前の最終利益であるため、企業活動の総力が売上高経常利益率に現れるといっても過言ではありません。
売上高経常利益率も業種によっても企業の成長段階によっても本当に異なります。
なので売上高経常利益率の業種平均を経済産業省HPからまとめました。こちらを参考にしてみてください。
参照元:令和1年企業活動基本調査速報-平成30年度実績-(経済産業省)
売上高販管費率
売上高販管費率(%)
= 販管費 ÷ 売上高 × 100
売上高販管費率は売上高に対して販管費がどの程度かかっているのかを表します。
販管費は「販売費及び一般管理費」のことで、主に給料や広告費などの商品・サービスを運営していく上で必要な費用を指します。
売上高や売上総利益を多くあげていても、それをプロデュースしていく販管費が多くかかっていては採算性がありません。
そのため、売上高販管費率を見ることによって効率的に売上をあげられているかを知ることができます。
例えば、化粧品業界は商品自体の原価率は低いですが、販売やプロモーションにお金をかけるため、売上高販管費率は高い傾向にあるのです。
ここで、データが少し古いのですが、経済産業省HPに売上高販管費率に関するデータが載っているので参考にしてみてください。
経済産業省:商工業実態基本調査 中小企業の販管費比率
まとめ
- 売上総利益率
商品・サービス自体の利益率をはかる - 売上高営業利益率
本業で稼いだ利益率をはかる - 売上高経常利益率
本業に財務活動を含めた、実質企業活動の最終利益率をはかる - 売上高販管費率
商品・サービスの運営費用のどの程度割いているかをはかる
また、損益計算書について復習したい方はこちらの記事を参考にしてみてください。
損益計算書って何?損益計算書がイマイチつかめない・・・損益計算書を簡単に理解したい! 本記事ではこのような疑問や悩み、要望にお応えします。日商簿記1級資格保有で、監査法人や会計コンサルティング会社で働いてきた経験のある筆者が「損益計[…]