会社員にかかる税金の種類まとめ【社会保険もわかりやすく解説】

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  • 会社員にはどんな税金や社会保険料がかかるの?
  • 給与明細から引かれるものの正体は?

本記事ではこのような疑問を解決します。

給与明細において引かれる税金や社会保険料についてよく考える機会は少ないのではないでしょうか。

しかし、どんな税金や社会保険料がかかっているのかを知ることによって税金に対する知識がつき、節税への意識が高まります。

そこで今回は会社員にかかる税金・社会保険料の種類を解説していきます。

会社員にかかる税金の種類

確定申告(イラスト)

会社員の税金(社会保険料含む)は以下の5つになります。

  • 所得税
  • 住民税
  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料

※なお、本記事では給与所得以外の収入がない会社員を前提とします。

所得税・住民税の計算方法はほぼ同じ

所得税と住民税の計算方法はほとんど同じです。

そこで、納税額の計算方法について以下のように図にまとめました。

所得税・住民税計算式(会社員)

用語説明

・給与所得控除額
サラリーマンとしての経費。収入に応じて一律に定められている。

・所得控除額
それぞれの個人的な事情を考慮して、税率を掛ける前の所得金額を減額するもの。例えば、医療費控除、雑損控除などがある。

・税額控除額
要件を満たした時に税額を直接減額するもの。例えば、ふるさと納税をしている人ならその納税分を税額控除額とすることができる。

会社員の収入は給料総額から税金・社会保険料が差し引かれた後の金額が口座へ振り込まれます。

そして、会社は差し引いた税金・社会保険料を従業員に代わって納めるわけです。この仕組みを源泉徴収制度と呼びます。


また、源泉徴収制度は以下のようなメリットがあります。

・会社員側のメリット
基本的に確定申告をする必要がない(給与所得以外に収入のある場合などの一部の人を除く)

・国側のメリット
税金をほぼ確実に徴収することができる

所得税

所得税は所得に対してかかる税金で、国に対して納める国税になります。

以下、計算方法と支払時期について見ていきましょう。

計算方法について

所得税の計算方法は上記の図の通りです。

また、所得税の計算に使う税率には所得が増えれば増えるほど税率が上がる超過累進税率が適用されています。

現状の所得税の税率は下限が5%で上限が45%となっていますが、多くの方は10%~20%あたりだと考えられます。

支払時期について

所得税は「これくらいかかるでしょ」という概算額を毎月の給与から天引されます。

そして、年末になると、年末調整をして1年間の所得税の額が確定されます。

そのため、基本的に会社員は確定申告が不要です。

住民税

住民税も所得に対してかかる税金で、お住まいの自治体へ納める地方税になります。

以下、計算方法と支払時期について見ていきましょう。

計算方法について

住民税の計算は上記の図の「課税所得金額」を用いて計算していきます。

住民税は内訳として均等割と所得割に分けられ、計算方法は以下のようになります。

均等割:自治体で定められた金額
所得割:課税所得金額 × 自治体で定められた税率

金額・税率ともに自治体によって異なりますが、

均等割→5,000円(都道府県民税:3,500円 市町村民税1,500円)
所得割→税率10%


という場合が多いです。

支払時期について

住民税の支払い時期は所得税と違って少し特殊です。

住民税は前の年の1年間の所得に対して課税され、その金額が当年の6月から翌年の5月まで12回に分けて毎月給料から天引きされます。

この徴収方法を特別徴収といいます。

一方、個人事業主は納税通知書にしたがって4回に分けて納税する普通徴収になります。

ちなみに、新卒入社の方の2年目の給料が1年目より減るという現象が起こりますが、これは2年目から住民税の分だけ給料から多く天引きされてしまうためです。

社会保険料の基準額

社会保険料(雇用保険料は除く)の計算において重要になってくるのが「標準報酬月額・標準賞与」になります。

これは健康保険料と厚生年金保険料の支払額を決めるための基準額で、所得税・住民税の場合の課税所得金額みたいなものです。

つまり、標準報酬月額・標準賞与に保険料率を掛けて支払う保険料が決定されます。

用語説明

・標準報酬月額
4~6月の報酬総額(基本給や各種手当などを合計した総支給額)を平均した1ヶ月分の報酬額を等級に応じて算出したもの。例えば、「1ヶ月分の報酬額が290,000円~310,000円の間なら標準報酬月額は300,000円」といった感じ。そのため、4~6月は残業を抑えたい。

・標準賞与
標準報酬月額の賞与版。

健康保険料

健康保険料は医療費の負担を軽減するために支払う社会保険料です。

以下、計算方法と支払時期について見ていきましょう。

計算方法について

健康保険料は標準報酬月額・標準賞与に対して健康保険料率を掛けて計算します。

健康保険料率は属している健康保険組合によって異なりますが、10%の場合が多いです。

なお、その半分は会社負担であるため、実際に給与から天引きされるのは5%分です。

ちなみに、40~64歳の方は介護保険料として1.5%(これも組合によって異なる)が上乗せされます。

こちらもその半分は会社負担であるため、実際に給与から天引きされるのは0.75%分です。

支払時期について

健康保険料は決定された報酬月額をその年の9月から翌年の8月まで支払います。

なお、毎年7月に報酬月額が決定され、以降同じことを繰り返していきます。

厚生年金保険料

厚生年金保険料は会社員の老後の年金受給のために支払う社会保険料です。

以下、計算方法と支払時期について見ていきましょう。

計算方法について

厚生年金保険料は標準報酬月額・標準賞与に対して厚生年金保険料率を掛けて計算します。

現行の厚生年金保険料率は18.3%になります。

なお、その半分は会社負担であるため、実際に給与から天引きされるのは9.15%分です。

支払時期について

厚生年金保険料は決定された報酬月額をその年の9月から翌年の8月まで支払います。

なお、毎年7月に報酬月額が決定され、以降同じことを繰り返していきます。

雇用保険料

雇用保険料は休業時や失業時に補償を受けるために支払う社会保険料です。

なお、社会保険料の中で計算方法などの内容が1番単純であっさりしています。

以下、計算方法と支払時期について見ていきましょう。

計算方法について

雇用保険料は月の給与額面金額に対して0.9%を掛けて計算します。
(0.9%は一般事業の場合→※大半の方が一般事業に該当する)

なお、そのうち2/3は会社負担のため、実際に給与から天引きされるのは0.3%分です。

支払時期について

雇用保険料は確定額を毎月の給与から天引されます。

まとめ

会社員にかかる税金の種類まとめ

  • 所得税
    超過累進税率適用で概算額が毎月の給与から天引きされ、年末調整で1年間の額が確定

  • 住民税
    均等割:5,000円と所得割:10%
    前の年の1年間の所得に対して課税されて6月~翌年5月で給与から天引きされる

  • 健康保険料
    標準報酬月額(4~6月の報酬総額を平均した報酬1ヶ月分をもとに算定される) × 10%
    半分は会社負担であるため、実際に給与から天引きされるのは5%分

  • 厚生年金保険料
    標準報酬月額(4~6月の報酬総額を平均した報酬1ヶ月分をもとに算定される) × 18.3%
    半分は会社負担であるため、実際に給与から天引きされるのは9.15%分

  • 雇用保険料
    給与額面金額 × 0.9%
    2/3は会社負担のため、実際に給与から天引きされるのは0.3%分


    ※それぞれの金額や率は一般的な場合

なお、個人事業主や株式会社(法人全般)にかかる税金等についてはこちらの記事を参考にしてみてください。

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