今回は起業したい方必見。
会社設立の方法についての記事です。
定款の作成から設立登記までの流れを見ていきましょう。
ちなみに本記事の内容は「株式会社」の設立についてです。
※内容は随時更新していきます。
株式会社の設立方法

株式会社の設立方法には2種類あります。
「発起設立」と「募集設立」です。
「発起設立」は設立時発行株式の全部を発起人が引受ける方法です。
これは個人で起業する場合であったり、中小企業であったりすることが多いパターンになります。
一方、
「募集設立」は発起人が設立時発行株式の一部を引き受け、残りは他者から株主を募集して設立する方法です。
これは他者からの出資を受け付けるため、比較的知名度やブランドがある企業に多いパターンになります。
ちなみに「発起人」とは会社設立を発起し、その設立行為を行う人を指します。
また1人以上であれば何人でも構いません。
そして当サイトでは地位や名声もない若者が起業することを前提としているため、「発起設立」について取り扱っていきます。
したがって個人や友人と一緒にスタートアップを立ち上げる方法に絞っています。
株式会社設立の大まかなステップは以下の通りです。
①定款を作成する
②出資
③役員等を決める
④設立登記
⑤設立登記後の手続き
本記事ではこのステップに沿って説明していきます。
①定款の作成
会社設立に際してまずは「定款」を作成します。
「定款」は会社の組織・活動について定めた根本原則のことです。
「定款」には3種類の記載事項があります。
絶対的記載事項
定款に必ず記載しなければならない事項です。
この記載がないと定款が無効となり、設立登記申請が受理されません。
具体的には以下の通りです。
・目的
・商号
・本店の所在地
・設立に際して出資される財産の価額orその最低額
・発起人の氏名or名称及び住所
・発行可能株式総数(原始定款では不要だが会社設立までに追記しなければいけない)
相対的記載事項
定款に記載しないと効力が生じない事項です。
ただし、これらが定款に記載されなくても定款自体の効力には影響がありません。
具体的には以下の通りです。
・変態設立事項(下記参照)
・種類株式に関する事項
・取締役等に関する事項
・・・・・etc.
~変態設立事項~
変態設立事項は会社の財産的基礎を危うくする可能性のあるもので定款にしっかりと記載しないと効力を要しない事項です。
また、原則として裁判所が選任する検査役の調査を受けなければなりません。
・金銭以外の財産による出資(現物出資)
・会社成立後に引き受ける財産(財産引受)
・発起人の会社成立活動への報酬や利益
・会社設立の費用(定款の認証手数料や印紙税などは除く)
任意的記載事項
絶対的記載事項・相対的記載事項以外で会社が自主的に定款に記載する事項です。
例えば「株主総会に関すること」や「事業年度」などがあります。
これらは定款に記載しなくてもその効力は生じますが、記載することによって拘束力や影響力を高めることができます。
「定款」を作成したら公証人の認証を受けます。
この認証を受けないと「定款」の効力は生じません。
つまりただの紙切れということです。
この認証時に発起人の実印と印鑑証明書が必要になります。
印鑑証明書はそのハンコが本人のものであることを証明する書類です。
定款には発起人全員の実印を押印しなければなりません。
公証人は公証役場のことで各都道府県に置かれている法務省・法務局所管の公的機関です。
詳しくはこちら:日本公証人連合会・公証役場一覧
定款の認証に際しては以下の費用が発生します。
・定款認証手数料→5万円
・印紙代→4万円
・謄本交付手数料→1枚あたり250円
ちなみに電子定款にすると印紙代の4万円かかりませんが、電子定款を利用するには少し手間がかかるので紙ベースがいいでしょう。
②出資
1.設立時発行株式に関する事項の決定
まず資本金や株式の数などを決めます。
現在、資本金は1円以上であればいくらでも大丈夫です。
まあ現実的には資本金1円はあり得ないですけどね。
そして通常、設立初年度の会社は消費税は免除されますが、資本金が1,000万円を超える場合は設立初年度から消費税が課税されます。
したがって資本金は1,000万円以下にしておくのがいいでしょう。
2.現物出資財産・引受財産に対する検査役の選任
変態設立事項で示した「現物出資」・「財産引受」がある場合は公証役場で定款の認証を受けた後、裁判所に対して検査役の選任の申し立てを行わなければいけません。
ただ、その財産等が少額(500万円以下)なものや有価証券などは検査役の調査は不要となります。
なのでここはスモールビジネスから始めていく個人の起業家などはスルーして大丈夫です。
3.出資の履行
発起人は引き受けた株式について銀行で払込みを行います。
4.発行可能株式総数に関する定款の定め
定款認証時に発行可能株式総数を定めていなければ、会社成立の時までに定める必要があります。
なお、これは発起人全員の同意で会社成立までにいくらでも変更可能です。
つまり発起人が1人であれば会社成立までに自分で決めればいいわけです。
ちなみに発起人が株主となるのは会社成立の時、つまり設立登記の完了の時になります。
③役員等を決める
上記のステップが終わったらいよいよ会社の組織設計をします。
そう、役員などを決めるステップですね。
まあ会社の組織設計といっても1人で起業しているのであれば自分が取締役となり会社を代表するだけのことですよね。
ここで「発起人が株主になること」と「役員等の選任」は別問題です。
つまり発起人は株主になりますが必ずしも役員等になるとは限りません。
発起人が1人の場合はその発起人の意思で、複数人であればその過半数で、自由に役員などを決めることができます。
なので発起人は会社成立後に株主となるのですが、経営を人に任せたければ知り合いなど数人を役員に選任するのもありということになります。
④設立登記
最後に法務局で設立登記を行い、晴れて会社設立となります。
設立登記には以下の設立登記申請書に必要な書類を添付して申請します。
法務局
株式会社設立登記申請書(取締役会設置会社の発起設立)
株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない会社の発起設立)
ここで株式会社の場合は登録免許税が15万円発生します。
そして設立登記日=会社設立日となるので法務局に行く日にちも少し考えましょう。
ちなみに設立日は月初(1日)にせず、2日以降にすることをおすすめします。
理由は法人住民税の均等割は1年で1事業年度とすると、それが12ヶ月に満たない場合(例えば11ヶ月と25日)、1ヶ月未満は切り捨てとなります。
よって、設立日を2日以降にした場合初月が切り捨てられ、法人住民税の均等割は1ヶ月分お得になります。
金額にして約6,000円です。
また、添付書類の中身などについては下記サイトの『会社登記に必要な書類は?』の部分に詳しく書かれています☟
⑤設立登記後の手続き
以上が定款作成〜設立登記までの流れになります。
これ以後の会社設立後にやるべきことについてはこちらで説明しています。
まとめ
・定款を作成し、認証を受ける
・資本金を決めて払い込む
・取締役などを決める
・法務局で必要書類を揃えて設立の登記をする
・株式会社設立に必要な費用は20~25万円くらい